RE:START。
新たなクリエイティブチームで再始動した
「mici」の現在地
2021年、待望のリスタートを発表したブランド「mici」。
2019年秋冬シーズンでの一時休止期間を経て、新たなクリエイティブチーム編成で動き出すブランドの理想像とは?
これまでと変わったことと、変わらないことを、デザイナー兼ディレクター土田みのり自身の言葉で綴ります。
本当に自分が着たいと思う服を、
ストレートに表現していきたい
「ブランドが休止をしている期間、自分自身とじっくり向き合う時間の中で思ったことは、感じたインスピレーションを嘘偽りなく表現できるデザイナーでありたいということ。
新しくインプットする時間がたくさんあったり、それをアウトプットするためにアートワークを始めて、無心で抽象画を描き続けたりしていました。
そういった時間を経て、自分の中で心境の変化も生まれてきたんです。
自分で感じたもの、想いをよりストレートに外に向かって表現していきたいという気持ちが、以前よりもさらに強くなってきました。
例えば新しいコレクションのキーカラーでも、パステルなどの優しい色の服がトレンドとしてある中で、強く格好いいクリエィティブな女性像を表現したくて、今回は黒をベースにした打ち出しをしています。
また自分で描いた抽象画をTシャツにも取り入れたことも、新しい試みの1つです。
このあたりにも、自分のインスピレーションをストレートに表現したいという気持ちが表れているのかなと思います」。
大人の女性が手に取りたくなる、
日常着の新しいスタンダード
「素材に対する考え方にも大きな変化が生まれたんです。家にいる時間が長く毎日家事をこなす中で、
ポリエステルなどの合繊素材ってすごいなぁと改めて気づかされたり。
シワになりにくいし、手軽に洗濯できるし、すぐ乾く。
以前は天然素材が好きで「mici」の服にもよく使っていたんですけど、今回のコレクションは合繊素材のものを増やしました。
家に長い時間いることで、服へのリアルな目線や実用的な部分がとても大事だと感じたので、
天然素材も合繊素材もそれぞれのいい所を活かした服作りがしたいなという考えにシフトしました」。
「今回の2021コレクションでは、逆三角形のシルエットを持つ服を提案したいと考えていたので、
そこはパタンナーさんと何度も相談しながら丁寧に仕上げました。
メリハリのあるシルエットは「mici」がずっと大切にしてきたことで、ブランドのシグネチャー。
だからこそ、そこは常に意識しています。
フラットな生地から立体的に作り上げられたドレーピング(立体裁断)や、
ブリーチを繰り返して生み出したうねりのあるファブリック、抽象画を取り入れたプリントTシャツなど、
まるで身に纏うアートワークのようなイメージで、クリエイティブに表現されたコレクションです。
ダルカラーの気分の中に、黒の持つ力強さでスタイルを引き締めながら、今までありそうでなかった新しい大人の女性のスタンダードを提案しています」。