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mici、2021年春夏の再始動へ向けて語る、ディレクターのブランドへの思い

mici、2021年春夏の再始動へ向けて語る、ディレクターのブランドへの思い

2019年秋冬のデリバリーをもって一時休止し、2021年春夏シーズンからの再始動を予定する「mici」。節目となるこのタイミングで、これまであまり語られることのなかったブランドへの思いや今後の展望など、ディレクターに聞いてみた。

2017-18AW DEBUT COLLECTION
2018SS COLLECTION

「本当に着たいものを作りたい」という 気持ちでmiciを立ち上げた

「本当に着たいものを作りたい」という 気持ちでmiciを立ち上げた

Q:最初にmiciを立ち上げた経緯をお聞かせください。

Q:最初にmiciを立ち上げた経緯をお聞かせください。

入社から10年ROSE BUDのデザイナーをしていました。もともとROSE BUDの大ファンで、デザイナーとしても「ROSEが大好き」「流行っているもの・売れ筋を作りたい」という思いで無我夢中で走ってきました。その中で自分が年齢を重ねたことや、結婚・出産などライフスタイルの変化を経て、「自分が本当に着たいものを作りたい」「ROSE BUDを卒業した大人の女性に向けたブランドがあったらいいな」という感情が自然と芽生えていました。

そんな思いとタイミングが本当にたまたまばっちり合って、自分のやりたいことを当時の社長に伝える課題があり、そこで 見事採用されて、miciというブランドをスタートさせることができたんです。

世界観を発信していく難しさ、楽しさを味わいながら、より強いこだわりを持ってmiciと向き合っています

世界観を発信していく難しさ、楽しさを味わいながら、より強いこだわりを持ってmiciと向き合っています

Q:miciという自身のブランドをスタートしてみて心境の変化はありましたか?

Q:miciという自身のブランドをスタートしてみて心境の変化はありましたか?

デザインする型数が減って、一つのアイテムと向き合える時間が増えたので、よりこだわったものづくりができるようになりました。
ROSE BUDの時のように、ストレートにトレンドを表現するというよりは、大人に向けてひとひねり、どちらかというとそぎ落とす方向でデザインしています。
ディレクターとしての視点でいうと、ブランドの世界観を創る側になって、いいアイテムを作りたいということだけはでなく、ブランドとしてもっと発展していきたいと考えるようになりました。
LOOKBOOK制作でカメラマンやヘアメイクなど、全く異なる職種の方とともに、miciの世界を形にしていくことにも、大きなやりがいと新たな楽しさを感じています。

ですが、デザイン以外の業務に初めて携わることになって、自分の発信力の弱さを感じました。自分が「ブランドとしてこう表現したい」という思いを、周りの人にしっかり伝えないとダメだなと。でも、自分のしたいことを一緒に表現しようとしてくれる仲間がいるということをすごく幸せに思います。

2018-19AW COLLECTION

大人の女性が着てみたくなる、削ぎ落とされたトレンド感

大人の女性が着てみたくなる、削ぎ落とされたトレンド感

Q:miciのブランドとしての強みは何だと捉えていますか?

Q:miciのブランドとしての強みは何だと捉えていますか?

大人の女性に向けた、「新鮮なディテール、斬新な色使い、他の人とは違うけれどやりすぎていない微妙なバランス感」かなと思います。

デザインにあたっては、とにかく自分が「今どんな気分か」を大切にしていて、無数のデザインソースを目の前に並べ、その共通項をカテゴライズしながら、「あ、私はこのカラーが着たいんだ、このディテールが気になっているんだ」と改めて確認して、それを形にしていく作業をしています。

もうひとつ強みというか、重視しているのは「これならこの先も着られる」というモノづくりです。素材はもちろんですが、デザイン的にもトレンドをひねってそぎ落とすことで、その年の流行物としてだけではなく、着る人の個性の一部として身に着けてもらえるようにデザインしています。

2019SS COLLECTION

結婚・出産・産休・育児…自身のライフステージの変化とワークライフバランス

結婚・出産・産休・育児…自身のライフステージの変化とワークライフバランス

Q:この度1年間のブランド休止を発表しましたが、その理由を教えてください。

Q:この度1年間のブランド休止を発表しましたが、その理由を教えてください。

2人目の子供を授かりまして、出産と育児のためです。

Q:ご自身のライフスタイルと、ディレクターとしての仕事のバランスはどのようにとっていますか?

Q:ご自身のライフスタイルと、ディレクターとしての仕事のバランスはどのようにとっていますか?

会社の仲間や夫の支えがあって、子どもを持つ前よりバランスが取れているなと感じます。残業も多かったし、プライベートでもとにかく仕事のことばかり考えて過ごしていたので。
今は会社を一歩出たら「夕ご飯何を作ろうかな」など、自然とスイッチが切り替わって、メンタル面でもかなりいいバランスでいられていると思います。

時間的な制約はもちろん今の方が多いですが、自分のブランドということもあり業務の全貌を把握し、スケジュールのハンドリングしやすくなったのも大きいかなと思います。

追われているというより、こうしたいという気持ちで動けている感じです。

その時の気持ちに沿ったモノづくりを貫いて、いつも「今の気分」に正直でいたい

その時の気持ちに沿ったモノづくりを貫いて、いつも「今の気分」に正直でいたい

Q:2017年秋冬シーズンから常に進化し続けてきたmiciが、ここで一時的な休止期間を得ることで、ブランドにどんな変化が現れると思いますか?

Q:2017年秋冬シーズンから常に進化し続けてきたmiciが、ここで一時的な休止期間を得ることで、ブランドにどんな変化が現れると思いますか?

1人目の産休の前、自分の気持ちやテイストにどんな変化が起こるかが分からず、怖かったのを覚えています。だけど、実際復帰してみたら仕事やトレンドへの思いはそんなに変わらず、ただ「買ってすぐに着られなくなる服は嫌だな」「洗えたらいいな」など違った視点も生まれてきて、今はその見方も活かしながらモノづくりできているかなと思います。

これまでも「着たい」や「今の気分」に正直にデザインしてきているので、産休中も変に「miciらしくいなきゃ」など考え ず自然に過ごして、復帰後また、その時の気持ちに沿ったモノづくりを貫いていけたらと考えています。

2019-20AW COLLECTION

トータルファッションとしてmiciの世界観を発信していきたい

トータルファッションとしてmiciの世界観を発信していきたい

Q:今後のmiciについての展望や目標をお聞かせください。

Q:今後のmiciについての展望や目標をお聞かせください。

最終的にはmiciの単独店が目標です。その中にはmiciとしてセレクトしたアイテムや古着なども一緒に並べて、トータルファッションとしてmiciの世界観を発信できるブランドにするのが目標です。

その前に、ROSE BUDの中に常設コーナーを設けたいとか、卸で地方のセレクトショップにmiciを置いてもらいたいとか、 越えていきたいステージがありますが、それに向かって楽しみながら頑張れたらなと思います。

再始動に向け、miciのさらなる飛躍のためのエネルギーチャージ期間

再始動に向け、miciのさらなる飛躍のためのエネルギーチャージ期間

Q:最後に、miciのファンの方へメッセージをお願いします。

Q:最後に、miciのファンの方へメッセージをお願いします。

この前初めてお客様からお手紙をいただいて、地道にやってきた中でファンの方がいることを実感し、とても幸せだなと感じました。

そんなmiciのデリバリーを楽しみにしてくださっているお客様に対して、1年間ブランドのお休みをいただくことは心苦しいことではあります。
ですがもう既に、次に作りたいものやイメージが溢れている状態なので、お休みの間はそのエネルギーをしっかりチャージして、2021年の再始動を迎えたいと思います。
そこからまたmiciをたくさんの方に知っていただき、より愛されるブランドにしていきたいです。
女性として母として、そしてブランドディレクターとして、いつも夢を大切に、このお休みもその糧となるよう過ごし、また戻ってきたいと思います。本当にありがとうございます。

editorial note

インタビューを通し一番印象的だったのは、着実に成長しているブランドをディレクションしていく中で、一時休止もポジティヴなパワーに変換する彼女の姿勢。
そんな物事の捉え方や強さが、miciというブランドのアイテムや世界観に反映され、知らないうちに女性の共感を呼んでいるのだろうと感じた。
2021年、どんなアイテムがどんな形で私たちの前に再び現れるのか、miciのさらなる進化から目が離せない。